国内の数あるブナ天然林のうち、私の故郷佐賀にも背振山山頂付近に小規模なブナ小集団が残存しています。九州のブナ林と言えば英彦山や紫尾山が有名でして、佐賀県民にすらほとんど認知されていないのが現状です。主だった学術研究も背振山ブナ林に対してほとんど行われてきていません。実際、複数の研究者が口をそろえてブナは自生しないとする隣の天山山麓にもブナはあるとする声もあり、背振に限らず佐賀のブナ林については詳細な生態調査が行われてきていないことを物語っています。
佐賀県民にとって馴染みがないブナではありますが、このブナを守り、豊かな背振山を後世に残すには、まずは佐賀県民自らがブナに「触れ」、ブナを「知る」ことが大事であると考えます。その先に継続的なブナとの共生関係が残せるでしょう。この背振山のブナ小集団は地理的に隔離されていて遺伝的重要性も高いと考えられます。そこで、一佐賀人、一研究者として、この故郷のブナ林を長期的に守るために行動を起こすことにしました。
ブナに限ったことではありませんが、広葉樹林を保護・育成するには、何よりも先に対象となる林において個体の実生生産能力を把握するところからはじめなくてはなりません。樹木は多様な繁殖能力を有すわけですが、今回フォーカスするブナは数年に一度しか成り年がこない(結実しない)上、親個体の老衰枯死と後継個体による更新が一巡するには百年以上を要すため、ブナの寿命スケールにあわせて人間側の世代をまたぐ長期的な取り組みが必要不可欠となります。
また、前述のとおりブナの天然更新はすでに難しい自然状況にあり、純然たる天然更新が望めない今、背振山においては人工な造林の道しか選べません。本研究を発端とする一連のプロジェクトでは、後記するワークフローにしたがって背振山ブナの生理生態学的調査からはじめ、実生個体数の確保、民間レベルでの育成支援団体の組織、天然林周辺域にとらわれない植栽活動と積極的な情報配信による普及活動を行って参ります。
佐賀県民にとって馴染みがないブナではありますが、このブナを守り、豊かな背振山を後世に残すには、まずは佐賀県民自らがブナに「触れ」、ブナを「知る」ことが大事であると考えます。その先に継続的なブナとの共生関係が残せるでしょう。この背振山のブナ小集団は地理的に隔離されていて遺伝的重要性も高いと考えられます。そこで、一佐賀人、一研究者として、この故郷のブナ林を長期的に守るために行動を起こすことにしました。
ブナに限ったことではありませんが、広葉樹林を保護・育成するには、何よりも先に対象となる林において個体の実生生産能力を把握するところからはじめなくてはなりません。樹木は多様な繁殖能力を有すわけですが、今回フォーカスするブナは数年に一度しか成り年がこない(結実しない)上、親個体の老衰枯死と後継個体による更新が一巡するには百年以上を要すため、ブナの寿命スケールにあわせて人間側の世代をまたぐ長期的な取り組みが必要不可欠となります。
また、前述のとおりブナの天然更新はすでに難しい自然状況にあり、純然たる天然更新が望めない今、背振山においては人工な造林の道しか選べません。本研究を発端とする一連のプロジェクトでは、後記するワークフローにしたがって背振山ブナの生理生態学的調査からはじめ、実生個体数の確保、民間レベルでの育成支援団体の組織、天然林周辺域にとらわれない植栽活動と積極的な情報配信による普及活動を行って参ります。